IT保険の役割とその重要性について
「IT保険」という言葉はあまり一般的には普及していないかも知れません。それもそのはずです。これは主にIT事業者を対象にした保険なのです。
IT事業者には様々なリスクがつきまといます。たとえば何千人、何万人という顧客の個人情報を管理している場合、それが万一人的ミスであるかどうかを問わず外部に流出してしまった場合、社会的信用を大きく失墜するだけでなく多額の損害賠償を請求されることがあります。
またWebサーバを管理しているような場合、クラッカーに不正侵入されてWebサイトが改ざんされたり、ウィルスが侵入してWebサイトに悪影響が出たりすることもあります。
さらにメールサーバを管理している場合、万一不具合が発生してメールの送受信ができなくなった場合、たとえそれが短時間のことであったとしても何万人という顧客に迷惑がかかってしまうことになります。
このようにIT事業者の過失などが原因で、顧客をはじめとする第三者から損害賠償を請求された場合、それを肩代わりするのがIT保険のねらいです。
IT技術は日進月歩で、次々新しい手口が生まれてきます。
昨年起こった遠隔操作事件なども、プロの捜査官がいくら調べても原因をつかむことがなかなかできなかったという悪質な手口で行われました。
こうした手口は全く予測がつきません。
それだけに予測し得ないトラブル、事故も起こるのです。
そんなときに顧客に対して最も誠意ある行動で示すという点では、損害賠償への速やかな対応ということが大切になります。
とはいえ、IT事業者はいつもいつもIT事故、セキュリティインシデントのことばかり考えているわけにもいきませんので、万一こうしたことが起こった場合に、すぐに対応できるようIT保険という手段を事前に講じておくのです。
近年、「クラウド」というシステムを活用したネットワークインフラの構築が進んできました。
従来は、社内に置かれたサーバ内に重要なデータを保存していたのですが、クラウドが普及することによって、これらのデータを外部のサーバに保存することになります。ということはこうした外部のサーバが万一不正侵入によってアタックされ、大事なデータが外部に流出するというリスクも今後増えていくことになり、損害賠償を請求されることも今後増えていきます。
さらに近年、スマホが一般的になりましたが、この対応アプリの開発においても、コンテンツの知的財産権に関する損害賠償請求問題は跡を絶ちません。
そういった意味では今後こIT保険の重要性がさらに増していくことは間違いありません。